お茶が入りましたよ:トップ>茶道を愉しむ>『南方録』を読む>5 露地に水うつ三露の心得

<5> 露地に水うつ三露の心得。


    露地ニ水うつ事、大凡(おおよそ)に心得べからず、茶の湯の肝要、たゞこの三炭・三露にあり、
    能ゝゝ功者(よくよくこうしゃ)ならでハ、会ごとに思ふやうに成がたき也、大概をいはゞ、客露地
    入の前一度、中立ちの前一度、会すミて客たゝるゝ時分一度、都合三度也、朝、昼、夜、三度
    の水、すべて意味ふかき事と心得べし、後の水を立水(たちみず)といふ、宗及などハ、立水心得
    がたし、何ぞや客をいねといふやうにあしらふ、これいかゞと被申(もうされ)よし、伝聞(つたえきく)
    易へ尋(たずね)申候へば、それ大に本意のちがい也、惣而(そうじて)わびの茶の湯、大てい初終
    の仕廻二時(しまいふたとき)に過ぐべからず、二時を過れば、朝会ハ昼の刻にさハり、昼会ハ夜会
    にさハる也、其上、此わび小座敷に平ぶるまひ、遊興のもてなしのやうに便ゝゝ(べんべん)と居る
    作法にてなし、  <中略> わびてい主こひ茶のミか、うすちゃまで仕廻て、又何事をか
    いたすべき、<以下略>


    【熊倉博士の語訳】


    露地に水をうつことをいいかげんに心得てはいけない。茶の湯の肝心なことはもっぱらこの
    三炭三露ということにある。よほどの達人でなくては茶会のたびに思いどおりにできにくい
    ものである。大体のことをいえば、客が露地入りする前に一度、中立ちの前に一度、会が
    すんで客が座を立つころに一度、あわせて三度である。朝会、昼会、夜会、それぞれ三度
    の水はすべて意味ふかいことと心得なさい。最後の水を立水という。津田宗及などは、立水
    というのは納得できない、何か客に帰れというように振舞うことになるので、これはどんな
    ものだろうといっておられたと聞いている。
    このことを宗易にたずねてみたら、宗易は「それは本当の意味をまったく取りちがえている
    のだ。すべてわびの茶の湯というものははじまりから終わりまで四時間を過ぎてはいけない。
    四時間以上になれば朝会は昼会の時間にさしさわりができ、昼会は夜会にさしさわる。
    そのうえ、このようにわびた小座敷に、普通の宴会か遊興のもてなしのように長々と居座る
    のは作法でない」 四時間をこえるもてなしは不必要だ。濃茶、薄茶がすめば、それ以上の
    遊興は必要ない。  <以下略>

    

    【熊倉博士の解説概略】



    


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