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<22> 小座敷の壺飾りの心得。


    葉茶壷、小座鋪(こざしき)ニモカザルコトアリ、大方、口切ノ時ノコト也、初入ニカケ物カケテ
    前ニカザルベシ、小座鋪ニテノカザリハ口ヲゝヒ、口緒マデニテヨシ、自然ニ長緒ナトムスブ
    トモ、ヤスゝゝト目ニタゝヌヤウニスベシ、サマゞゝヨウガマシキムスビ形ナド、物シリガホニテ
    アシヽ、網ハ凡(おおよそ)、小座鋪ニテハカケヌナレドモ、口切ニテナキ時ハ壺ニヨリテカクル
    モ不苦(くるしからず)


    【熊倉博士の語訳】


    葉茶壷を小間の茶室にも飾ることがある。大体口切の茶会のときのことだ。
    初入りのときに掛物を掛けてその前に飾るのがよい。小間の茶室での飾りには口覆い、
    口緒の飾りまでにしておくのがよい。自然に長緒の飾りを結ぶことがあっても、自然に目立たぬ
    ようにしなさい。さまざまのいわくありげな緒の結び形など、いかにも知っていますというようで
    嫌なものだ。網は大てい小間の茶室ではかけないものだけれど、口切でないときは、壺に
    よってはかけてもかまわない。


    【語釈】
    葉茶壷 : 碾茶にする前の葉茶を入れる壺。高さ4、50センチ、茶が3,4キロほど入る。
    口切 : 初冬(現在は11月)にひらく茶会で、茶人にとってもっとも重要な茶会。
          初夏の新茶を詰めておいた茶壷の口を切る。茶会の主役は茶壷である。
    口ヲゝヒ、口緒 : 茶壷は封印して口覆いをし、さらに紐で口緒を結び、そのうえ正式には
                非常にこみいった紐の飾り結びの技術がある。

    【熊倉博士の解説】

 
    現在ではほとんど茶人の興味をひかなくなった茶壷が当時いかに重要視されていたか、
    そしてその茶壷を小座敷に飾る時の細やかな神経。
    茶の保存技術の進歩していなかった利休の時代は初夏の新茶の味を本格的な茶会の
    シーズンである冬までいかに維持するかがむずかしかった。
    口切の茶会では、はじめに封のままの壺が飾られ、客の前で取り出された葉茶が早速
    水屋で石臼にかけられ、ひきたての茶がたてられるのである。新茶に劣らぬ香ばしい
    茶を喫する醍醐味は何にもたとえようがなかったに違いない。



    


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