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<18> 名物の掛物にあわせて床天井をつくる。


    名物のかけ物所持の輩ハ、床の心得あり、横物(よこもの)にて上下つまりたらば床の天井を下げ、
    竪物(たてもの)にてあまるほどならば天井をあげてよし、別のかけ物の時、あしき事少(すこし)
    いとふべからず、秘蔵名物にさへ恰好よけれバよき也、絵にハ右絵(みぎえ)・左絵(ひだりえ)あり、
    座敷のむきによりて、床のつけやう心得て作事すべし、


    【熊倉博士の語訳】


    名物といわれるほどの掛物を持つ人には、床の間の掛物が横物の軸で掛物の上下のたけが
    短すぎるならば、床の天井を下げてよい。また竪物の軸で長さがあまるほどならば天井を上げ
    てもよい。ほかの掛物のとき具合が悪いのは少しも気にする必要はない。秘蔵の名物の掛物
    にさえ恰好がよいならそれでよいことだ。絵には右絵と左絵というのがある。座敷の向きによっ
    て床のつけようを考えてつくらなければならぬ。


    【語訳】

    横物 : 掛物の字や絵が横長の紙や絹に書いてあるもので、掛物としての幅がひろく、
          それに対して長さは短い。これを普通の床に掛けると掛物の上端と天井の間、
          あるいは下の畳までの空間があきすぎて掛物の寸がつまってみえる、という
          ことを述べている。
    竪物 : 横物の逆で床の天井から畳までの高さより、掛物のほうが長い場合すらある。
    右絵・左絵 : 三幅対の絵では中央の絵を本尊にみたて、両脇に絵を脇侍仏とみる。
              したがって本尊の側から(すなわち床の壁を背にして)右側の絵が右絵、
              左が左絵となる。これを床に向かってみる人間の側からは左右が逆に
              なる。


    【熊倉博士の解説】

 
    掛物こそ茶の湯の中心である。それほどに大切な掛物であれば、その掛物のために茶室を
    つくりかえてもよい、というのが利休の主張であった。
    右絵・左絵の博士の解釈:もしもある茶人が名物の右絵一幅を持っていたとしよう。
    この名物掛物を床に掛けると、右絵であるから、絵の図柄は向かって右を向いている。
    したがって、床の右が上(かみ)、左が下になる。すなわち、座敷の床の右側から光がはいり
    下座が左にくるように床が作られねばならない。
    それぐらい名物の掛物は重大であるということ。


    


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